RTmetrics導入事例
株式会社
ゴルフダイジェスト・
オンライン 様
データベースマーケティング
導入前の課題
- ● ログ型解析ツールでは急増するアクセスの解析処理ができない
導入後の効果
- ● パケットキャプチャ型ならではのスムーズな導入ができ、大容量でも問題なくリアルタイムで細部まで分析が可能に。
データベースマーケティングを
社員全員で行うことが目標
ゴルフのポータルサイトとして多くのゴルファーが利用する「ゴルフダイジェスト・オンライン」(以下、GDO)は、2000年の開設以来アクセス数を延ばし続け、1億を越える月間ページビューと約150万人規模の会員数を持つ大規模なサイトだ。同社では、パケット取得型のアクセス解析ツール「RTmetrics」を利用している。大規模サイトとしてこのツールを選んだ理由とデータ分析に対する考え方を、同社マーケティング本部データマイニングチームの中澤伸也氏に伺った。
アクセス数の増加にともなって
アクセス解析ツールを変更
GDOでは、ウェブ事業を行う会社として設立当初からアクセス解析の重要性を認識し、アクセス解析ツールを活用していた。「私自身は今年の1月にこの会社に入ったため、設立当初の詳細についてはわかりかねますが、立ち上げ当初からデータベースマーケティングに対しての関心は高かったようです。訪問者の行動や会員獲得のためのマーケティングは当初から行っていて、アクセス解析もその中の1つとして行っており、最初はログ型の解析ツールを使っていたと聞いています」 しかし、開設以来のアクセス数の伸びが非常に早く、大きく成長を遂げていったGDOでは、最初に導入していたツールでは処理できなくなってきたと中澤氏は言う。
「ログ型の解析ツールは、小規模のサイトの場合には効果が高いと思います。溜めておいたログを後から加工するには非常に便利なのですが、大規模なサイトで利用するにはデータベースサーバーもそれなりの規模のものが必要となります。しかし、GDOは開設以来、急速にアクセス数を伸ばしていますし、メディア、オンラインショップ、ゴルフ場サービスなどの総合サービスを行っているため、コンテンツの量が多いことが特長です。2004年の時点で、現状のままでは規模の拡大に対応しきれないということがわかっていました。当時は、データを解析するためのクエリーをバッチで処理していたのですが、最初は夜間に処理を始めて 5~6時間で解析が完了していたものが、24時間経ってもバッチが終了しないような状況となってきたのです。そうなると、前日のデータを翌日に見るということができません。また、それだけバッチの処理に時間が掛かると、エラーが発生するリスクも高くなりますし、データベースの処理速度や精度だけでなく、ディスク容量も問題となってきます」
図1:GDOで提供されているコンテンツは実に多種多様。単なる情報発信だけでなく、プロ選手なども参加しているブログや仲間を探せるサークルなど、ゴルフファンが集まるコミュニティもある。
初期費用がかかっても運用コストを
抑えられる
アクセス解析ツールを見直すにあたっては、「タグ型の解析ツールに乗り換えるか、データベースを強化して当時のログ型の解析ツールを使い続けるか、パケットを取得してアクセス解析を行うツールを導入するか」の3つの選択肢があったという。その中で最終的にパケット取得型の「RTmetrics」を選択したのは、どこにポイントがあったのだろうか。
「最も大きな理由はコストです。われわれのようなトラフィックを稼がなければならないモデルでは、ページビュー(PV)が増えるとコストも比例して増えるようなツールの利用は不向きです。その観点で考えると、タグ型で多くのサービスが提供されているASPサービスは、PV加算で利用料が決まってしまうので選択肢から外れます。また、ページにタグを埋め込まなければならないため、制作側に大きな負担となることもマイナスでした。2つ目のログ型に関しては、当時の最速のデータベースサーバーを利用しても処理が追いついていかないだろう、というのが結論でした。このような状況で最終的に候補として残ったのが、パケット取得型のRTmetricsだったのです。 RTmetricsはパケット取得のためのハードウェア設置など、ほかの方式に比べてやや初期費用はかかりますが、運用時にコストが増加していくよな事はありません(注:一定の保守量は必要)。また、パケット取得型なのでタグなどを埋め込む必要が無いので、制作担当に大きな負担がかかることもなく、ログ型ほどには解析のためのデータベースサーバー強化も必要としません」
RTmetricsは、ソフトウェアを購入するライセンス方式のアクセス解析ツールで、購入後は保守費用を除く月額費は発生しない。タグ型のアクセス解析ツールの中にはPV加算以外にも買取ライセンス方式のツールもあるが、それらに比べて数分の1の導入コストであったのも魅力の1 つだった。
「タグ型にもPV加算ではないものもありました。しかし、これらのツールはフル機能で提供されるので初期導入コストが非常に高くなります。一方、RTmetricsはMU(モニタリングユニット)という考え方で、解析する範囲や対象を限定して利用できます。つまり、必要な範囲のMUだけを購入すれば、初期導入コストを抑えられるわけですね。われわれは、集客が増えていく成長のほかにも、もう1つ大事な成長があると考えています。データベースマーケティング企業として、全員がデータベースでマーケティングでき、成長していくことも非常に重要視しているのです。われわれの分析レベルが成長すれば、MUを追加して拡張できるというのは、非常にGDOにマッチしている製品だと思いました」
図2:選択した理由として大きかった、解析のリアルタイム性。サイトが大規模になってもパフォーマンスが低下しにくいというパケット取得型ならではの特長を持つ。
アクセス解析の結果だけが
必要な数値ではない
中澤氏が所属するデータマイニングチームは、全社的な分析レポートを作成することが主な業務となる。このような分析専門の部署を設ける会社はまだ少ないが、GDOではどのような考えでアクセスデータを分析しているのだろうか。
「アクセス解析というのはいくつかあるデータの1つであると考えています。購買データやアンケートデータなどのいくつかのデータと組み合わせて利用しなければ、威力を発揮できないのです。また、数字やグラフだけのレポートは意味がなく、重要なのは”コメント”だと考えていますね。全社的なレポートでは、数字だけを見ても一喜一憂するだけで、なぜ結果がそうなったかがわからないし、間違った解釈をしてしまいがちです。われわれのチームでは、そのときに社内でどんな活動が行われたか、競合他社がどんな行動を行ったかといった情報をふまえ、”なぜそのような数字になったのか”という理由を解釈しフィードバックすることをもっとも重視して、コメントするようにしています」
さらに、「全員がデータベースでマーケティングでき、成長していくこと」を重要視しているというが、その為の教育活動なども積極的に行っているという。
「分析のノウハウを横展開するための教育活動も行っています。分析の部門が集中管理的に分析を行ってノウハウを溜めていても意味がないというのが持論です。重要なのは、各部門の企画担当者が自分で行った施策の効果測定をできるということであり、データベースを利用した”仮説検証サイクル”を自分でまわしていけるというのが理想です。また、部門のマネージメントを各部門自身で、データベースを中心に自然に行えるようになることを目指しています。まだ完全ではありませんが、たとえば、あるキャンペーンを行った場合、できるだけその効果測定はその部門がアクセス解析やその他のデータを元に分析するようにしています。われわれのチームは、各部門の担当者が分析しやすいように教育したり、RTmetricsの設定、フォーマットやマニュアルの整備等のインフラ環境構築に力を入れています」
図3:複数サイト間のパス解析がグラフィカルに表示される。ユーザの動線=行動を把握することで、ECサイトの構造やコンテンツ企画の改善に役立てることができる。
イメージする力がもっとも重要な
スキル
中澤氏の経歴を聞くと、以前は量販店のホームページ開設に関わったり、データマイニングやCRM、経営の側面からのKPI(企業の業績評価を測る重要指標)管理などを行っていたとの事だが、もっとも長い経歴は店頭業務であり、その経験がアクセスログなどの分析を行うのに非常に役立っているのだという。
「購買データを分析するにせよ、アクセスを分析するにせよ、最終的にマーケティングのソリューションにつなげていくにあたり、店頭での経験が非常に役に立っています。実際に自分が数値を見るときには、頭の中で店頭でのお客様の行動をイメージしながら見るようにしており、また店頭での経験から”何を見るべきなのか?”といった、分析指標の設計を行うことも多いです。私が店頭に立っていたときにずっと思っていたのは、お客様の行動を記録できないかということでした。本当に見たかったのはお客様の購買だけでなく行動で、どういった動線で店内を動いているのかをノートに書き留めたりしたのですが、定量化したデータにはなりません。アクセス解析ツールを知ったときは、これまでにはない分析の世界に驚きました。しかし、逆に言えば、ウェブの会社はお客さんの姿を目で見ることができません。お客様の姿はアクセスデータにしか現れないのです。したがって、アクセスデータを見ずにビジネスをやるということは、目が見えない状態で店頭に立っているのと同じだといえます。重要なのは、単に数値が上がった下がったという結果ではなく、数値から”お客様の行動をいかにイメージできるか”ということなのだと思います。そのイメージ力を鍛えるという意味では、ウェブだけでなく、店頭などのリアルでの経験や視点を持つことは有益だと思いますね。また同様に、”このような行動をしたら、どのような数値として現れるのか”といった視点で、”自分のネット上での行動を逆に数値としてイメージする”といったことも、普段意識的に行うようにしています。」
図4:GDOには、情報メディアだけでなく、ゴルフ用品の販売やゴルフ場予約のページもある。ECサイトとしての特性も持っているので、アクセス解析ツールにはコンバージョン分析などの機能も重要となる。
明確な目標とスキルがあれば細かな
分析が可能となる
RTmetricsの操作性について話をしてみると、意外にも「正直言って他と比べて使いやすいとは言えない」という答えが返ってきた。しかし、それに不満を抱いているわけではなく、使い手次第で十分に活用できるツールであると中澤氏は考えているようだ。
「他のツールの中には、非常にグラフィカルで直感的に見てすぐわかるインターフェースがあります。ウェブ全体を大きなくくりで見たり、ツール側から提供されたメニューで分析していくのなら他のツールの方が便利でしょう。しかし、RTmetricsには自由度が高く、非常に細かな分析ができるという利点があります。しかしその分、「何をしてよいかわからない」という状態に陥り易いとも言え、「明確な分析目的」を持つことが、もっとも重要となります。パケット取得型なので、取ろうと思えばサーバーから発信する全てのデータを取得できます。さまざまな分析が可能な玄人好みのツールなんですね。きちんとデータを分析できる人員や体制が整っている会社なら、非常に柔軟性が高く、コストパフォーマンスも優れたツールです」
最後に、今後取り組んでいきたい課題などを伺った。
「解析データを解釈し、コメントとしてフィードバックすることが本来の仕事だと思っているので、今は手作業でやっている数値の作成や整理などは自動的にできるようにしたいですね。RTmetricsは、 APIを使ってバッチなどを作ることができるので、それを使って今後は自動化していこうと考えています。また、会員データベースや購買データとアクセスデータを結び付けた分析がまだできていないので、それも課題です。会社全体としては、個々の担当者の効果測定スキルが上がり、データベースマーケティングが会社の遺伝子としてひとり一人の社員に刷り込まれることが、今後更に発展していくために必要だと思います。そのような会社にしていけるといいですね」
RTmetrics 高いリアルタイム性、
導入と運用の容易さなど
パケット取得型ならではのメリット
従来のアクセスログ解析ツールの多くは、ウェブサーバーのアクセスログを分析したり、各ページに貼り付けた JavaScriptなどのタグを利用して分析する。それらとは異なり、ネットワークを流れるパケットを取得してアクセス解析を行うのが「RTmetrics」の最大の特長だ。
RTmetricsは、ソフトウェアライセンスとして提供される。解析対象のウェブサーバーが接続されているネットワークスイッチのミラーポートから、パケットを取得してアクセス解析を実現している。そのため、リアルタイム解析、複数サイト間のパス解析、ポストデータ解析などが行えることも特長となっている。特に、複数サイト間のパス解析は、ブランドや部門ごとに別々のウェブサーバーを立てて運用しているような場合でも、相互間を行き来するユーザーの行動などを把握できるので、非常に便利だろう。
また、パケット取得型であるということは、現状のウェブシステムやウェブページに影響を与えずに、簡単にすばやく導入できるというメリットもある。サーバーやクライアントに特別なツールをインストールする必要もなく、タグ型のようにウェブページに手を加える必要も無い。また、ウェブサーバーから吐き出されるアクセスログの100分の1程度のデータ量で分析ができるので、ウェブサイトのリソースに与える影響も少なく、大規模なサイトでも長期間のアクセスを分析することが可能だ。
さらに、ケータイサイトのアクセス解析にも強いのも、他のツールにはないRTmetricsの持つアドバンテージだ。ブラウザのクッキーやIPアドレスによるユニークユーザーの判別だと、ケータイ向けのアクセス解析には対応できない。RTmetricsでは、HTTPヘッダーフィールド内の情報を解析してサイト訪問者を特定している。これによって、ユニークな訪問者ベースでの端末種別、アクセス数、アクセスパターンの分析ができる。
このほか、オーリック・システムズでは、RTmetricsを理解して習得するためのセミナーやトレーニングを定期的に開催している。ウェブマスター向けやマーケティング担当者向けのコースがあり、設定からレポートの読解などが学べる(日程等の詳細については同社ウェブサイトを参照)。
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マーケティング部
シニアマネージャー中澤 伸也 氏
株式会社 ゴルフダイジェスト・オンライン
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URL
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会社名
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン
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代表者
代表取締役社長 石坂 信也
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所在地
東京都港区
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資本金
824百万円(2010年12月31日現在)
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従業員数
368名(2010年12月31日現在)※臨時雇用者数含
事業内容
リテールビジネス、ゴルフ場ビジネス、メディアビジネス