RTmetrics導入事例
株式会社 KADOKAWA 様
ポータルへの来訪者、例月の
1.5倍に増加
ユーザーの声を反映したサイト作りで
ユーザー同士の交流を活性化
導入前の課題
- ● 携帯がゆえに個々のユーザーの動きを把握することが困難だった。
- ● 手軽に、リアルタイムに、施策を検証する手段がなかった。
導入後の効果
- ● 会員登録フローを見直し、会員登録数の増加を実現。
- ● ユーザーの求めるコンテンツが見えやすいポータルサイトを実現
日本最大級のモバイルコミュニティサイト
「魔法のiらんど」は、1999年、iモードの黎明期にスタートした無料ホームページ作成サービスだ。当時システム構築を生業としていた同社の技術者魂と、モバイルの可能性にいち早く着目した谷井社長の「ホームページをケータイで作れたらおもしろいんじゃないか」という遊び心で、サービスをスタートしたという。「いわば技術研究の一環で生まれたサービス」(株式会社魔法のiらんど マーケティンググループ 福間俊宏氏)だったが、フタを開けてみれば、初日だけで300アクセス。1週間後に10万アクセス。3ヶ月後には1日120万アクセスを記録し、iモードユーザの認知は一気に広まった。
「魔法のiらんど」の最大の魅力は、「だれもが気軽に参加して表現できる」点だ。徹底した監視・啓蒙活動で安心・安全な環境を実現し、迅速な機能拡張でユーザーの表現活動をより豊かにサポートしてきた。いまのブログ文化の先駆けとも言えるその楽しさに共感する若者は多く、ユーザーの口コミで来訪者数は着実に増加。一人がホームページを開設すると、友達が次々と訪れて書き込み、その友達の中から新たにホームページを開設するユーザーが現れるという循環が起こり、いまや月間19億PV、累計会員数520万人を誇る、日本最大級のモバイルコミュニティサイトに成長している。
とくに、2000年から提供しているBOOK機能を利用した「ケータイ小説」は、10代~20代の若い女性から圧倒的な支持を得て、出版化が続いている。 2007年秋には、「魔法のiらんど」から生まれた“ミリオンセラー”ケータイ小説『恋空』が映画化される。CGM(Consumer Generated Media)の成功例として、関係者からも多いに注目を集めている。
アクセス解析を阻んでいた二つの特質
ところが、これだけの人気サイトでありながら、長い間一人ひとりのユーザーがどのような動きをしているか、正確には把握できていなかった」という。
これには、いくつかの要因がある。
まず「魔法のiらんど」の大半のユーザーはケータイからアクセスしているため、PCメインのサイトと異なりCookieをとることができない。また、閲覧や既設サイトへの書き込みだけであればID入力も必要がないオープンなシステムであるがために、一人ひとりのユーザーの動きを追跡することは困難だった。バナー広告やテキストリンクなどにIDやパラメータを埋め込み、クリックデータを収集・分析していたが、作業負荷が大きいため対応するサイトは限られていた。
同社の急成長の要因であった「モバイルであること」「オープンであること」が、逆に当時のアクセス解析の技術においては足かせとなっていたのである。
会員フローへの効果的な施策で新規会員数を大きく増加
そこで2007年4月、RTmetricsの導入に踏み切った。
「ケータイからのアクセスを解析できることに加え、ユーザーのホームページ新規開設などにより常にサイトの構成が変化している『魔法のiらんど』にとって、ユーザー全体の大きな動きと一人ひとりの正確な動きの両方をリアルタイムで把握できることは大きなメリットでした。これで、現状把握・仮説立案・実行・検証のサイクルを迅速に繰り返すことが可能になりました」
同社がまず行なったのは、会員登録フローの見直しだ。
「右肩上がりのPV数と訪問者数を見ていると、会員数にはまだ伸びる余地があると考えていました。次々に発生するユーザーの口コミを会員増加に繋げたかったのです」
会員登録ページに進んだユーザーは、まず空メールを送信し、その後基本情報を入力し、会員登録を完了する。その過程で多くのユーザーが止めてしまっている。これまでも施策を行ってきたが、前述の通り検証に時間がかかるため月に数回のペースだった。RTmetricsではリアルタイムに検証できるため、複数の施策を矢継ぎ早に打てるようになった。例えば、伝えたいメッセージに合わせて複数の会員登録ページを用意する施策や、動線の位置を変える、よりカラフルにする、絵文字を使うなどの表示に関する施策を短期間に実施した。様々な施策が実り、歩留まりが6%上昇。会員登録数も増加し、大きな成果を上げることができた。
「サイト内での動きを短期間に解析できるようになり、施策の効果を持続することが可能になりました。スピードを手に入れたことは、我々にとって非常に大きな前進です」
ユーザーの声を反映したポータルサイトで来訪者が1.5倍に増加
さらに同社では、ポータルサイトのブラッシュアップに着手した。それまでの「魔法のiらんど」のポータルは、ユーザーの要望に応え続けてきた結果、サービスとコンテンツの量が膨大になり、下へ下へとスクロールしなくてはいけない縦長のサイトだった。
「ケータイの画面では一度に目にできる情報量が限られるため、訪問頻度の高いユーザーさんでもポータルの下部にあるコンテンツを知らないことがあります。ポータルのあるべき姿に関しては、絶えず議論していました」
そこで、従来のポータルサイトからの遷移先の分析に加え、RTmetricsでさらにその先のユーザーの動きを解析。検証の結果、ログインするユーザとケータイ小説総合サイト「魔法の図書館」を訪れるユーザーが突出していた。このフィードバックを受けて、メインタイトルのすぐそばに、ログインへのリンクとケータイ小説のランキングを表示設置「ユーザの欲求に一目で応える」ポータルへ生まれ変わった。その後の動線解析によると、約40%のユーザーがケータイ小説へ移動するなど、同社の仮説通りの効果を得ることができた。動線が整理され、使い勝手が改善されたポータルサイトは、訪問者数が約1.5倍に増加したという。
「レイアウトを変えたことで、先ずケータイ小説の読者が増加し、続いてログインするユーザさんが増加しました。ケータイ小説を読みにポータルを訪れたユーザーさんがホームページ会員になるという相乗効果ではないでしょうか。ユーザーさんの声を反映したサイト構成が、この数値に繋がったのだと思います」
今後、同社ではユーザビリティの向上を最優先にしながらも、eコマースや公式サイト、キャンペーンページなど売上に直結する部分にもRTmetricsを導入する予定だという。
「一人ひとりのユーザーさんが弊社の唯一の資産です。ユーザーさんに楽しんでもらうことが我々のミッションであり、その実現のためにRTmetricsをフル活用していきたいと思います」
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マーケティンググループ
福間 俊宏 氏
株式会社 KADOKAWA
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URL
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会社名
株式会社魔法のiらんど(現:株式会社KADOKAWA)
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代表者
代表取締役社長 谷井 玲
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所在地
東京千代田区
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資本金
3億6,500万円(2007年4月1日現在)
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従業員数
43人(2007年4月1日現在)
事業内容
無料ホームページ作成サービス「魔法のiらんど」の企画・開発・運営、公式コンテンツの企画・開発・運営、広告配信事業、アイポリス事業